その後ろで、乙葉は目をつむり『予知眼ノ術』を発動させていた。


「乙葉。『予知眼ノ術』の調子はどうだ?」

「…視えるわ。1時間後にここへお越しになるお客様の姿がはっきりと」


乙葉は、迷うことなく渡された紙にその客人たちの風貌を記載していく。


しかも、乙葉の呪術の力は高まっていて、『予知眼ノ術』で視える範囲が広がっていた。

これまでは、視えてもせいぜい3〜4時間後までであったが、ここにきて約6時間先まで視えるようになったのだ。


今から6時間のうちに、皇居には8人の客人がくることが乙葉には視えていて、それら客人の着物の色や特徴的なことを細かく書き記した。


「すごいわ、乙葉!さすが、私たちの自慢の娘ね!」

「でもお母様、わたくしが視えるのはここまで。でも、ここに書き記すのは今日の日付が変わるまでの客人の風貌でしょう?わたくしには、そこまでは視えないわ」