「そうじゃの〜。わらわも初めて見るぞ」


玻玖と帝のやり取りを聞いて、満足げな笑みをこぼす貴一。


「いやいや、ご謙遜されて。これほどまでの呪術師であらせられる東雲殿なら、『予知眼ノ術』もお持ちではないのですかな」


玻玖が『予知眼ノ術』が使えないと見越して、したたかに煽る貴一。


「帝様。僭越(せんえつ)ながら、『予知眼ノ術』をご覧いただき、神導位の座が黒百合家か東雲家かどちらにふさわしいかをお決めになられてはいかがでしょうか」

「ほう、それはよい提案じゃ」


貴一と帝の会話を聞いていた玻玖は、どこか不満そうな表情だ。


「ちょっと待ってくださいよ。俺はべつに、神導位になんて興味はな――」

「そういうことじゃ。よろしく頼むぞ、玻玖」


帝はそれだけ言うと、自室へと戻っていった。