このような屈辱的な扱いは初めてのこと。


「それではさっそく、貴一、玻玖、頼んだぞ」

「はい!お任せください」

「…仕方ないですね。帝さんがそう言うのなら」


なおも気だるげにつぶやく玻玖に対して、貴一はまるで刺すような鋭い視線を送っていた。


その後、貴一と玻玖による呪術の手合わせが行われた。


貴一は、巧みに多種多少な呪術を披露する。

本来であれば、これだけの呪術を扱える時点で、神導位継続は確実と言ってもよい。


しかし、そんな貴一の呪術と同じものを玻玖は簡単にやってのけた。


…いや。

同じものをやっているように見えて、実はそれ以上のことをやっていた。


帝や側近たちにはほとんど区別はつかないが、同じ呪術師であればすぐに目につくほどのことを。


技術的には難しいはずなのに、玻玖は涼しい顔をして貴一以上の真似事をしていた。