貴一が怒鳴るも、玻玖はマイペースにキョトンとしている。


「すみません、極度の恥ずかしがり屋なもので。面と向かって他人と話せないので、どうかこのままでお許しください」

「…なにをふざけたことを――」

「よいよい、貴一。このような臆することも知らない者も珍しかろう」

「しかし、帝様…!」


苛立ちを見せる貴一を帝がなだめる。

そんな貴一を玻玖がクスリと小さく笑うものだから、貴一はまた焦燥に駆られる。


「では、玻玖よ。貴一が見せる呪術と同じものを見せてもらえるか?」

「…え、同じものをですか?」


自信なさそうに聞き返す玻玖。


「そもそも、帝さん。『貴一さん』って言ったら、“あの”有名な黒百合貴一さんですよね?」


玻玖にチラリと視線を向けられた貴一は、まるで威嚇するように睨みつける。