「帝さん。少し顔を見せるだけでいいからと言われたからきてみたら、このピリついた空気はなんですか」


貴一たちを眺めるようにして、玻玖が帝に話す。


狐の面で目元が隠れて表情は読み取れないが、口元だけを見ると気だるげにため息をつくのはわかった。


「ピリついた…とは?まあ、そう言わず座ればよい」


この場の空気をまったく読めていない帝であったが、玻玖の言うとおり、貴一からはただならぬ敵意の圧が発せられていた。

もちろんそれが向かう先は、当然玻玖のもと。


「…で、帝さん。俺はここでなにをすればよろしいので?」

「貴様…!!先程から、帝様に対してなんたる口の利き方…!恥を知れ!」


このまま、負の呪術で殺めてしまうのではないかと思うような勢いで立ち上がる貴一。


「それに、いい加減そのふざけた面を外したらどうなんだ!帝様の前であるぞ!」