「手合わせしたい相手…でございますか?」

「そうじゃ。さっそくその者をここへ呼んでまいれ」


帝がそう言うと、側近がすみやかに部屋から出ていく。

予想外の展開に、動揺を隠せない貴一。


少しして側近が連れてきたのは、1人の長身の若い男だった。


美しい銀色の短髪。

ほのかに揺れる耳飾り。


そして最も特徴的なのは、鼻から顔の上半分を隠すようにしてつけられた白い狐の面。


見るからに、怪しげな男だということはわかる。


「帝様、この方は…」

「実は、わらわもよく知らんのじゃ」

「な…なんと…!そのような者を…この皇居内へ!?」

「ホッホッホ〜。よいではないか。よく知りはせんが、腕が立つ呪術師であることはたしかなのじゃ」


帝が言うには、ひと月ほど前、皇居近くで火事があった。