「ありがたきお言葉、感謝致します」


帝に深々と頭を下げる貴一。

その後ろでは、同じように八重と乙葉も頭を下げる。


「黒百合家の呪術にはいつも驚かされて、わらわも子どものころからこの呪披の儀の日を楽しみにしておった」


満足そうな帝の姿を見て、確信したように八重と乙葉は顔を見合わせて微笑む。


今、帝の前にいるのは黒百合家の3人のみ。

最終日に残ったあとの呪術師たちは、帝のお眼鏡にかなわず全員返されていた。


何度も呪披の儀を経験した貴一にとって、この流れで帝から神導位継続を言い渡される想像はついていた。


「さて、新たな神導位についてじゃが…。ここでひとつ、そなたと手合わせしてもらいたい相手がおるのじゃ」


だからこそ、予想もしていなかった帝の言葉に貴一たちは意表を突かれるのだった。