しかし、草刈家当主はそれを兵たちをなぎ倒すことに利用してしまった。


威嚇のつもりで発動しただけで、実際に兵たちはたいしたケガは負っていない。


そうであったとしても、人を傷つける恐れがあったことに変わりはない。


「正の呪術も、使い方によっては負の呪術となりうる。それくらい、呪術師なら知ってて当然のことだと思うが?」

「…待てっ!!それならお前はどうなんだ!負の呪術で、オレを殺そうとしただろう!?」

「そうだ」


貴一は表情を一切変えず、毅然とした態度で言い放つ。


「…おいおい。そんなはっきりと『そうだ』…なんて言いやがって」

「なにかおかしいところでもあるか?神聖なる呪披の儀を荒らすお主を鎮めるために、神導位として当然のことをしたまでだ。それに、わしが使ったのは負の呪術であって負の呪術にあらず」