目の当たりにした貴一の禍々(まがまが)しい負の呪術に恐れおののく呪術師たち。


「お父様、とってもかっこよかったわ!」


戻ってきた貴一に駆け寄る乙葉。

八重もそのあとに続いてやってくる。


「貴一さんったら、呪披の儀だからといって張り切りすぎよ。私たちの順番はまだまだ先なのだから」

「ああ、そうだな。ちょっとした準備運動だ。それに、我らは帝より授かりし『神導位』。帝に危害を加えようとする者は、何人たりとも許しはしない」


貴一はそう言って、ようやくまともに呼吸ができるようになってきた草刈家当主に視線を送る。

その視線に気づいた草刈家当主は、よろよろと立ち上がり貴一を指さす。


「…それよりも、黒百合!今のは『負の呪術』だろ!?それを使えば、いくら神導位のお前だってただでは済まないはずだっ…!!」