すると、取り押さえていた兵たちが一瞬にして四方八方に弾き飛ばされた。


これも呪術の一種で、草刈家当主が唱えた言葉が呪術の発動条件だった。


騒然となる会場。


「呪術も使えないお前ら軟弱兵が、束になってかかってきたところで意味ないんだよ!この草刈家当主様にとったら、そのへんの小虫が群がってくるのと同じだ!」


無意味な異議申し立てをする呪術師はこれまでにもいたが、実際に呪術を発動して帝直属の兵に手を出したのは今回が初めての出来事だった。


こうなってしまっては、ただの人間である兵たちがいくら集まっても、たった1人とはいえ呪術師相手に勝てるはずもない。


「どうせ、その部屋の奥に帝が隠れてんだろ?だったら、力づくでもそこから引きずり出してやる」


不気味に微笑み、呪術を唱える草刈家当主。