「帝を出せ!!直接抗議してやる!なんでオレが落とされなきゃいけねぇんだ!神導位になるのは、このオレだ!!」


初日であっさりと審判で落とされ、怒りのままに声を荒げるのは、地方から遥々やってきた呪術家系、草刈(くさかり)家の当主であった。


もちろん草刈家当主が騒いだところで帝が出てくるわけもなく、駆けつけた皇居の兵たちによって取り押さえられる。


「おい、離せっ!!わざわざこんなところにまできてやったんだから、文句のひと言くらい言わせろ!」

「草刈様、お引き取りください。神導位になられる呪術師様は、崇高なお方。このような振る舞いをされては、あなた様でははなから選ばれませぬ」

「…なんだと!?ただの兵ごときが、オレに指図するな!」


草刈家当主は両腕をつかんでいた兵たちを睨みつけると、なにかを小声でつぶやき始める。