「だから、あのとき言ったではありませんか。『私なら大丈夫です。あとでまたお会いしましょう』と」


菊代は和葉にそう言って笑ってみせたが、和葉は再び菊代に会えたうれしさで、泣きながら抱きついた。


玻玖と和葉は、互いに自分の力を制御できるように、日々修練している。


玻玖は、ゆっくりとではあるが火を克服しつつある。

妖術も押さえられるようになり、満月の日以外で面を外すことも徐々に増えてきた。


和葉は、『森羅万象ノ術』を人々の暮らしに役立てようと、玻玖に呪術を教わっている途中。


このなにもない田舎町では、玻玖の呪術はとても重宝されている。

また、近くに医者がいないということもあり、玻玖と和葉の家にはケガをした村人たちがやってくる。


しかし、呪術で成り上がるつもりのない2人は、決してお金は受け取らない。