玻玖はもはや、人の姿とは程遠いかたちになっていた。


そこにいるのは、瞳が闇に染まる――白銀の妖狐。


「それがお前の正体か…!東雲玻玖!」


貴一は、短刀や屋敷の残骸などを呪術で飛ばすが、玻玖は妖気で一瞬にして弾き飛ばす。


「コロシテヤル…。ゼッタイニ…!」


ゆっくりと貴一に歩み寄る玻玖。

貴一の体が今までに感じたこともない恐怖に縛られる。


――食い殺される…!!


そんな言葉が貴一の脳裏をよぎった。


そのとき――。

玻玖の脚をだれかが握った。


やさしくて、穏やかな温かさが玻玖に染み渡る。


「……旦那…樣…」


その声に、足元に目を向ける玻玖。

なんとそこには、かすかに目を開け、玻玖に語りかける和葉がいた。


「…カズ…ハ……?」

「…はい。和葉でございます…」