玻玖の頭からは大きく尖った耳が生え、長くて太い尾が渦巻き、鋭い牙と爪を生やす。

顔つきも人間から、まるで狐のように変わっていく。


我を忘れた玻玖は、『擬獣化』へと姿を変えようとしていた。


「ひ…ひぃぃぃ…!!」

「こいつは…本物の化け物だぁ…!!」


玻玖の殺気と擬獣化の姿に、周りの呪術師たちは腰が抜けて逃げ出していく。


「こんなやつを相手にするなんて、無理に決まってるだろ…!」

「…話が違う!オレは手を引かせてもらう…!!」

「待て…お前ら!!」


貴一が呼び止めるも、次から次へと命惜しさに逃げていく呪術師たち。

気づいたときには、蛭間家当主も忽然(こつぜん)と姿を消していた。


残ったのは、貴一…ただ1人。


「アトノヤツラハ、ドウデモイイ。オマエサエ…コロセバ」