その思いが痛いくらいに伝わってくる。


「…そうだな。化け狐の嫁とはいえ、仮にもわしの娘。お前がわしに忠誠を誓うと約束するのであれば、命だけは助けてやってもいいぞ」


そう言って鼻で笑う貴一に、和葉はギリッと下唇を噛む。


――どうしてこんなことに。

わたしはただ、愛に触れ、愛を知り、愛する人とともに幸せな日々を過ごしたかっただけなのに――。


和葉の願いは、ただそれだけだったのに。


「東雲、覚悟はできたか?」

「………て…」

「心配するな。お前が死んだあとは、和葉は再び黒百合家に戻してやる」

「……や…て…」

「今夜の出来事は、わしから帝にお伝えしておく。負の呪術を乱用しようとしたお前を止めにきたところ、やむを得なく戦闘になってしまったとな」

「…やめて……」


その場で小さく叫ぶ和葉。