ぽかんとする玻玖。

まさか玻玖も、和葉にそのように思われていたとは予想外だった。


「そんなこと、あるわけないだろう。俺の瞳には、和葉しか映っていないというのに」


そう言って、玻玖は和葉の背中に手をまわしぎゅっと抱きしめる。

まるで、和葉がここにいることを確かめるように。


「とはいえ…、不安にさせて悪かった。俺の愛しい妻は和葉だけだ。この指輪に固く誓う」


玻玖は和葉の左手を取ると、自分の左手もいっしょに月にかざしてみせる。

玻玖の誓いに共鳴するように、2つの指輪はキラキラと輝いていた。


「だから和葉、もう俺の前からいなくなろうとするな。…いいな?」

「はい。かしこまりました」


和葉は玻玖の腕の中に包み込まれながら、そっとうなずいた。


――もう大丈夫。

愛しい旦那様といっしょなら。