できることなら、2人が写っている1枚の写真を見てみたかった。


和葉は、そう心の中でつぶやいた。


するとそのとき、和葉の頭の中でなにかが駆け巡る。


…そういえば、これと似たような写真をどこかで……。


「どうした、和葉?」


和葉の顔をのぞき込む玻玖。

と、同時に和葉は目を見開けた。


「…旦那様!少しお待ちください!」


和葉は玻玖を縁側に残したまま、自分の部屋へと急いだ。


そして、部屋の桐たんすの中から、嫁入りの際に持ってきた着物を取り出す。

着物蔵で見つけた、桜色の着物だ。


そのたとう紙を開けると――。


「和葉、そんなに慌ててなにかあったのか?」


そのすぐあとに、玻玖もやってきた。

玻玖は、着物を見つめたまま畳に座り込む和葉にそっと後ろから近づく。