玻玖はそう言うと、なにやら着物の懐に手を入れた。

取り出したのは、紙切れのようなもの。


「これが、瞳子だ」


玻玖が見せたのは写真だった。

そこには、和葉とそっくりの女性が写っている。


「この方が…、前世のわたし……」


写真の裏には、【玻玖】【瞳子】と直筆で名前が書かれていた。

その筆跡も和葉とよく似ている。


だが、その写真はなぜか真ん中で破られていて、左半分だけ。


「もう片側はどうされたのですか?」

「あとの半分は瞳子が持っている。おそらく火事で燃えてしまって、もうこの世にはないだろうが」


悲しそうに微笑む玻玖の口元を見たら、胸が締めつけられた。


写真の右半分には玻玖が写っていて、いつでも会えるようにと写真を半分に破り、互いに相手の姿が写っているほうを受け取ったのだそう。