玻玖はそう言って笑った。


前世の記憶を受け継いだまま生まれ変わることができる、『輪廻転生ノ術』。

人によっては、喉から手が出るほど魅力的な呪術であることだろう。


しかし、人間の寿命は約60年。

もし『輪廻転生ノ術』を使える人間の呪術師がいたとしても、寿命を半分削ってまで生まれ変わるにはリスクが大きすぎる。


あやかしの玻玖だからこそできる呪術であった。


「…お話はわかりました。ですが、わたしには旦那様と違って前世の記憶がありません…。なので、どう反応したらいいものか…」


玻玖が嘘をついているとは思えない。

今語ったことは本当だろう。


しかし、前世の自分が300年前に玻玖といっしょにいたという場面を想像しようにも、そう簡単にできるものではなかった。


「そうだな。話だけではわからないな」