「そう。和葉、お前だ」


玻玖は和葉を見つめ、愛おしそうに頬をなでる。


「俺はお前に出会うため、300年待った」


300年という時の流れが人間の和葉にとってはとてつもないもので、にわかには信じがたい。


「…ですが、その『輪廻転生ノ術』というものは…、転生後の寿命の半分が代償なのですよね…?」

「ああ、そうだ」

「なぜ、そのような無茶なことを…!ご自分の人生を削ってまで――」

「そうまでしてでも、俺は瞳子の生まれ変わりに会いたかった。ずっとずっと好きだったから」


ここで、玻玖のあの言葉の謎が解ける。


『和葉がこの世に生まれるずっとずっと昔から、
俺はお前のことを愛していた』


玻玖は300年の時をこえても尚、愛し続けていた。

1人の人をただ一途に。


「それに、妖狐の寿命は200年。和葉と生涯を添い遂げるのなら、残りの100年でも長いくらいだ」