玻玖の意に反して、涙が溢れ出す。


「…玻玖様、ありがとうございます。…そう言っていただけで、わたしは…とても幸せです」


血が流れる口元をゆるませ、微笑む瞳子。

そんな瞳子の表情だが、玻玖は涙で滲んでぼやけてしか見えない。


「もし生まれ変わることができるのなら…、わたしは来世でも…こうして玻玖様と結ばれとうございます…」

「来世など…、そんなこと言うな…!」


玻玖の涙が、瞳子の頬の上に落ちる。


「…そして、今度こそ…玻玖様と祝言を挙げ、夫婦となって共に人生を歩んでみたいのです…」


瞳子は、震える手で玻玖の頬にそっと手を添える。


「…玻玖様。わたしはずっと…貴方様を愛しています」


瞳子は玻玖に微笑みかけると、眠るようにして目をつむった。


玻玖の頬から滑り落ちる瞳子の手。