地鳴りが起こったかのような揺れに、地面に空いた穴からは煙が上がっている。


その破壊力に、ごくりとつばを呑む冬貴。


「瞳子…。お前…、その呪術は一体――」

「…うるさい!うるさい!」


泣きじゃくる瞳子が叫ぶと、空も唸る。


見上げると、さっきまでの満月はどこへやら。

真っ黒な分厚い雷雲が空を覆い、激しい雨も降り出してきた。


「…雨!?なんなの…急にっ…!」


女は顔にかかる雨を拭い払うが、風の勢いも強まり、雨粒が弾丸のように降り注ぐ。

落雷は、瞳子たちがいる場所にしか落ちてこない。


「まさか…、これは……」


これらの現象を目の当たりした冬貴が眉をひそめる。


「にわかには信じがたいが…。これは…『森羅万象ノ術』…!」


『森羅万象ノ術』を封印していた術者の瞳子の母が亡くなったことにより、その封印は解かれた。