「でも…まさか、お前がそこまでのことをするとは…」

「そんなの、わたくしと冬貴さんのために決まってるじゃない。それと、“この子”のためでもあるわ」


そういって、女は隣にいた青年の背中をたたく。


貴臣(たかおみ)だって、もうすぐ17。あなたに似て呪術の才能もあって、十分黒百合家を背負って立つ器の男になったと思うのだけれど?」

「…そうか、もう17か」

「あの娘は嫁ぐのでしょ?それなら、黒百合家の次期当主は貴臣で決まりね。将来こうなると思って、代々黒百合家の長男につけられる『貴』の文字を入れて、『貴臣』という名前にしたんだから」


瞳子は、ただただその場に立ち尽くすことしかできなかった。

あまりにも、聞こえてくる話が衝撃的な内容の連続で。


母の死は、偶然ではなく仕組まれたもの。