2人は密かに愛を育み、瞳子が18歳になる日、玻玖は瞳子に結婚の申し出をした。
瞳子の母は、娘の幸せをたいそう喜んだ。
もし自分になにかあっても、瞳子を一生守ってくれる相手ができたと言って。
父の冬貴も2人の婚約を祝福した。
――しかし、腹の底では別のことを考えていた。
それは、神導位の座。
今の黒百合家は、瞳子のおかげで『準神導位』についているようなもの。
その瞳子が東雲家へ嫁げば、東雲家はさらに呪術家系として成り上がり、『神導位』として居座り続けることだろう。
一方、瞳子がいなくなった黒百合家は、下手をしたら次の呪披の儀で『準神導位』の座をも譲ることになりかねない。
瞳子が嫁に行くことは困る。
しかし、万が一玻玖が婿として黒百合家へきたとしても、力ある玻玖に代々続く黒百合の名が飲み込まれ途絶えてしまうのではなかろうか。
瞳子の母は、娘の幸せをたいそう喜んだ。
もし自分になにかあっても、瞳子を一生守ってくれる相手ができたと言って。
父の冬貴も2人の婚約を祝福した。
――しかし、腹の底では別のことを考えていた。
それは、神導位の座。
今の黒百合家は、瞳子のおかげで『準神導位』についているようなもの。
その瞳子が東雲家へ嫁げば、東雲家はさらに呪術家系として成り上がり、『神導位』として居座り続けることだろう。
一方、瞳子がいなくなった黒百合家は、下手をしたら次の呪披の儀で『準神導位』の座をも譲ることになりかねない。
瞳子が嫁に行くことは困る。
しかし、万が一玻玖が婿として黒百合家へきたとしても、力ある玻玖に代々続く黒百合の名が飲み込まれ途絶えてしまうのではなかろうか。