このことは、瞳子と母親だけの秘密。

なるべく人に知られないようにと、父親である冬貴にも伝えられていない。


よって瞳子は、母親以外にその力に気づかれることなくこれまでの人生を歩むことができた。


しかし、玻玖のようにあやかしともなれば、封印されていようとその力に勘づくことができる。


「どうして、今日会ったばかりの俺なんかにそのような話をした?」

「さぁ…、どうしてでしょう。でも、東雲様もあやかしであることを隠していらっしゃる。…似た者同士だからでしょうか」

「封印されているとはいえ、場合によっては『森羅万象ノ術』を持つお前を殺していたかもしれないのだぞ」

「そうですね。でも、東雲様は人を殺めるようなお方には見えなかったので」


そう言って、瞳子は笑った。

その笑顔に、なぜか玻玖は無性に心を惹きつけられた。