そんな瞳子には、秘密があった。


それは、自然の力をその身に宿す最強の呪術『森羅万象ノ術(しんらばんしょうのじゅつ)』を扱うことができる、伝説として語り継がれるほどの極稀(ごくまれ)に存在する呪術師の1人であった。


『森羅万象ノ術』は天候を操る術で、正の呪術にも負の呪術にも属さない特別な呪術。

人々に恵みをもたらすが、使い方によっては世界をも滅ぼす力があるとされ、最強であるがゆえに恐れられてきた。


そのため、『森羅万象ノ術』を意のままに操ることができる物心つく前に滅すべしという思想が広がっており、『森羅万象ノ術』を持つ呪術師は密かに暗殺対象とされていた。


その瞳子の特別な力にいち早く気づいたのが、瞳子の母親であった。


瞳子の母親は『封印ノ術(ふういんのじゅつ)』を得意とする呪術師であったため、まだ0歳の瞳子に『森羅万象ノ術』を封じ込める呪術をかけた。