「さすが、『神導位』という地位を与えられたお方…。まさか、人間でないということは予想外でしたが」


玻玖の目尻がわずかにピクリと動く。


「あれ…、違いましたか?お狐様でいらっしゃいますよね?」


玻玖は驚いた。

『妖狐』ということを隠して人間の姿でこれまで過ごしてきたというのに、初めて出会った――しかもこんな娘に言い当てられるとは思っていなかったから。


「なぜわかった?」

「東雲様がわたしに感じものと同じです。東雲様からも、膨大な呪術の力が漏れ出ているのがわかります」


玻玖の姿をやさしいまなざしで見つめる瞳子。


「おもしろい娘だ」


玻玖も自然と口角が上がっていた。


瞳子は、一人娘として黒百合家のもとに生まれた。

幼いころより呪術の才能があり、将来を期待される呪術師であった。