「隠していた俺の本来の姿を見せたが、…どうやら俺も和葉を二度騙していたことになるな」


玻玖の口元が切なげに微笑む。


「…どういうことですか、旦那様」

「そうだな。ここで少し…、昔話を聞いてくれるか?」

「昔話…?」

「ああ。先程和葉が知りたがっていた、ずっと昔からお前のことを愛していた…という話もいっしょにしようか」


静かに語る玻玖を見つめる和葉。


聞こえるのは、草木を揺らす夜風の音だけだった。