『言ノ葉ノ術』は相手を精神的に縛り、決められた言葉が呪術発動の条件となる。


「黒百合さんが和葉に言いつけをするときに、毎回共通して言っていた言葉はないか?」

「共通して言っていた言葉…」


和葉は顎に手を当てて考え込む。


言いつけと言われても、いつも同じ内容とは限らない。

それに、『言ノ葉ノ術』をかけられているという自覚がなかったから、尚更――。


「……あっ…」


和葉がぽつりと声を漏らす。


「なにか気づいたか?」

「これが…、その言葉かどうかはわかりませんが……」


和葉は、ごくりとつばを呑む。


「…『わかったな、和葉』」


そうつぶやいた瞬間、和葉は激しい頭痛に襲われた。

まるで、頭を矢に貫かれたような今までに感じたことのない鋭い痛み。


「……うっ…!」