「それなら、俺もいっしょに行こう」

「ダメです!東雲様は、わたくしとここにいてください!」


玻玖の腕にがっちりと抱きつき、離そうとしない乙葉。


「…いや、しかし――」

「旦那様、わたしは1人で大丈夫ですから…」


和葉はそう言って、そそくさとその場を去った。


台所へ行き、薄暗い中3つの湯呑みに熱いお茶を注ぐ和葉。


「はぁ…」


無意識に、ため息が出た。


玻玖のそばにいる乙葉が、やたらと目についてしまう。

男兄弟がいなかったから兄として慕っているだけだろうが、それにしては…どうもその距離感が気になる。


――それに。


『東雲様のことを想うとなかなか寝つけなかったのです』


乙葉が言っていたあの『想う』とは、義兄への親しみを込めてだろうか。


それとも――。