なぜか体が言うことを聞かず、短刀を捨てることもできない。

玻玖にこのことを打ち明けようとするものなら、突然の吐き気に襲われるのだった。


だから、なんの進展もないまま今に至る。


「和葉、おいで」

「はい」


和葉を招いた玻玖は、その腕で和葉を抱きしめる。

そして、やさしく頭をなでるのだった。


ここ最近、毎日玻玖はこうして和葉の頭をなでる。

初めは恥ずかしがっていた和葉だったが、玻玖に頭をなでられると、なぜかとても癒やされるのだった。



そんなある日。

東雲家に、招かれざる客がやってくる。


「…和葉様!」


昼食後の片づけの手伝いをしていた和葉のところへ、菊代が飛んでくる。


「どうかしましたか?」

「実は…、表にお客様が…」

「お客様?どなたですか?」


首をかしげる和葉。