「だ…旦那様…!!」

「東雲玻玖…!?なぜここに!?」


想像していなかった展開に、目を見開ける貴一。


「なぜと言われましても、妻の帰りが遅いので迎えにきました」

「…迎えにきただと!?貴様、今は都にいるはずでは…!」

「そうです。だからこそ、この日に和葉を実家に呼びつけたのですよね。俺と引き離すために」


玻玖にはすべてお見通しだった。


帝の誕生日である9月30日。

この日、神導位は必ず都に呼ばれることは元神導位の貴一なら把握済み。


そこで同じ日に、和葉が実家に帰ってこさせる用事を取りつけたのだ。

再び、玻玖の暗殺計画を伝えるために。


「屋敷の者から聞きました。和葉の帰りが明日になると、文が届いたと。それで、なにかがおかしいと思いまして」

「たったそれだけのことで、和葉を迎えにきたというのか…!」