「さすがのあやつも、まさか同じ呪術が二度もかけられているとは思うまい」


貴一は暗殺計画に執着しすぎていて、まったく和葉の目を見ようとはしていない。


今の和葉から見た貴一は、うまくいかなかったからと(むき)になる子どものように思えた。


「…お父様、それは無意味なこと…。旦那様には、『眠毒ノ術』は効きません」


和葉がそう言うも、貴一は無視して和葉の前へしゃがみ込む。


「毒にも、段階というものがある。あのときかけたものより強い毒素を含んだ『眠毒ノ術』をかければ、あやつもただでは済むまい」

「お…、おやめください。わたしはもう…」

「じっとしておれ。その唇に呪術をかけられねば意味がなかろう」


和葉の唇しか見ていない貴一は、和葉がどんなに訴えかけようがその目は合わない。