「それに、もうこんなことはもうおやめください…!300年間、神導位としての地位を築いてきた黒百合の名を自ら汚すおつもりですか…!」

「黙れ!その神導位の座を取り戻すためだ!お前は、ただ黙ってわしの言うことだけを聞いておけばいいのだ!」

「ですから、わたしはもう――」

「わかったな、和葉」


その瞬間、和葉はまるで体中を細い糸で縛られたかのようにピリピリとした痛みに似た感覚が伝わり、体が動かなくなった。

それに加え、頭もぼうっとする。


「聞け、和葉。お前は、この短刀で東雲玻玖の心臓を貫くのだ。そして、このことをだれかに話すことも禁ずる」


貴一は身動きの取れない和葉の着物の懐に、短刀を差し込む。

表からは見えないように、中に隠れるように奥へ奥へと。


「もし、あやつを殺すのをためらったり、だれかに漏らすようなことがあれば…。そのときは和葉、お前の命をもって償え」