とりあえず、妥協してこの顔で留めておくか。

というのが、乙葉の考えといったところだろうか。


そして、無事に結納が終わる。


今日は、黒百合家に婿にくる清次郎と、その妻になる乙葉が主役の日。

本来であれば、会食が始まるまでの間は2人の今後について話されることだろう。


しかし、違った。


蛭間家当主は、神導位の妻である和葉のことが気になって仕方がなかった。


「和葉様は、神導位である東雲殿のところへ嫁がれたとか」

「は…はい。…あの、“様”はおやめください」

「そうはいきません。あの神導位の妻になられたお方ですから!」


対角線上に一番離れた場所に座る清次郎の父親、蛭間家当主に興味を持たれ、困惑する和葉。


「それにしても黒百合殿、驚きましたぞ。黒百合家の長女は病で伏せっていると聞いておりましたが、まさかこのようなお美しい方だったとは」