「なるほど。しかし、考えていることは単純だぞ」

「…と、言いますと?」


不思議そうに首をかしげる和葉。

玻玖は和葉の顎に手を添えると、ニヤリと口角を上げた。


「俺はいつも和葉のことだけしか考えていない」


その言葉に、顔を真っ赤にする和葉。


「だ…旦那様!からかうのはやめてください…!」

「からかってなどいない。本当のことだ」


玻玖は和葉の手をそっと取ると、その白くて細い指に自分の指を絡めてやさしく握ったのだった。


初めての都、初めてお目にした帝。

それも印象的だったが、和葉にとっての一番は――。


『和葉が黒百合家に生まれなくとも、呪術を持っていなくとも、俺は和葉を嫁にしました。ですから、和葉に呪術など必要ありません』


臆することのない、玻玖の芯のある言動。