その後、和葉と玻玖は帝と会食をし、都に1泊して、次の日の朝に迎えの車に乗り込んだ。


「そういえば帝様、旦那様のことを『つかみどころがない』とおっしゃっていましたね」

「そうだな。どこをどう見たら、そんなふうに思うのだか」


後部座席から窓の外を見つめながらそうつぶやく玻玖に、和葉は驚いて目を向ける。


「旦那様…、ご自身ではお気づきになられてなかったのですか?」

「それは…、この面のせいか?」


玻玖はキョトンして自分の面を指さす。


「たしかにそれもあるかもしれませんが、おそらく帝様がおっしゃっていたのは、旦那様がなにをお考えになっているのかわからないということだと思います」

「そうなのか?和葉もそう思うか?」

「そう…ですね。旦那様は、おっとりしていらっしゃるので…」