「帝の命であっても、聞けないものは聞けません。それでもというのなら、この場で神導位辞退の申し出をして帰らせてもらいます」

「…旦那様!?突然なにを…!」


和葉同様に、側近たちも口をあんぐりと開けて驚いている。


少し妻が呪術を見せればいいだけというのに、それを拒み、こちらの意見を聞き入れてもらえないというのなら『神導位』を辞退すると。

呪術師であるならば、だれもがうらやみ欲するという『神導位』の地位を。


玻玖にとっては、そんな地位や名声なんかよりも和葉のほうが大事であった。


「妻の和葉は、見せ物などではございません。そんなに呪術が見たいとおっしゃるのであれば、4年後の呪披の儀で帝の命のままに俺がお見せいたしましょう」


ぐうの音も出ずに、悔しそうな表情を浮かべ黙り込む側近たち。