「和葉が黒百合の長女だから、神導位の妻であるから…。そんなことは、俺にとってはどうでもいいこと。和葉が黒百合家に生まれなくとも、呪術を持っていなくとも、俺は和葉を嫁にしました。ですから、和葉に呪術など必要ありません」


相手は帝だというのに、玻玖の男らしい言葉に和葉の胸がドキッと鳴る。


「東雲殿。これまではあまり目くじらを立てないようにしておりましたが、さすがに今の帝への口ぶりは無礼にも程がありますぞ!」

「そうだ!帝が『見たい』とおっしゃるのなら、その命に従っていただこう。そちらに拒否権などない!」


玻玖の発言に、帝の両隣にいた側近たちが怒り出す。


たしかに、帝に歯向かうような言い方…。

時代が違えば、即刻斬り捨てられていたっておかしくはない。


しかし玻玖は、相手が帝であろうと、側近たちに責められようと、毅然とした態度を崩さない。