「お…、お初にお目にかかります…!しの…ののめ玻玖の妻であります、か…和葉と申します…!!」


ガチガチに緊張し、噛みまくりの和葉に笑みがこぼれる玻玖。


練習したにも関わらずうまくできなかった和葉は、内心落ち込んでいた。

しかし、帝はやさしく和葉を見つめる。


「そんなに緊張せんでもよい」

「は…はい…。ですが…」

「そなたのことは聞いておる。…いや、知らぬ者などおらんのではなかろうか。神導位の東雲玻玖が、黒百合家の長女を嫁にもらったという話は有名じゃぞ」


帝の言うとおり、玻玖と和葉の結婚は呪術界隈を大きく騒がせた。


玻玖が神導位になって『神導位の嫁』というポジションは、年頃の娘を持つ呪術家系ならだれもが狙っていた。

そこに、妻として収まったというだけでも注目されるというのに、それがあの最高峰の呪術家系である『黒百合家』の娘。