初めての都。

見たこともない人の多さに、和葉はただただ驚くばかりだった。


「和葉、おいで」

「…はい!」


和葉は、差し出された玻玖の手にそっと自分の手を重ねた。


初めは手を繋ぐことにも慣れていなかったものの、今ではそれに幸せを感じる和葉。

大きくて、やさしく包み込んでくれる玻玖の手が大好きだった。


玻玖の溺愛っぷりに戸惑うこともあるが、和葉の空っぽだった心が玻玖の愛で満たされていった。


皇居到着。

帝との会食に、ずっと緊張状態の和葉。


玻玖たちが待っていると、ゆったりとした足取りで帝がやってきた。


「おお〜、玻玖!久しぶりじゃの〜」

「お久しぶりです。帝さん」


初めて見る帝に、和葉の緊張はピークに。

そんな玻玖の隣で固まる和葉に帝が目を向ける。


「なるほど。そなたが噂で聞いた、玻玖の妻であるな」