「旦那様。いつも言っているではありませんか。お面をつけておられては、お気持ちがこもっているのかわかりませんと」


今では、こんな冗談も言い合える仲になった。


「だが、面を外すのは勘弁してくれ。照れた顔をお前に見られるのはさすがに恥ずかしい」

「旦那様の照れた顔…ですか?」

「ああ。愛しい和葉がそばにいて、照れないわけがないだろ」


素顔は隠れて見えなくても、玻玖の甘い言葉はいつもストレート。

甘すぎるがゆえ、和葉はいつも照れてしまう。


月明かりに照らされ、にっこりと微笑み見つめ合う和葉と玻玖。

縁側には、唇を重ねる2人の影が映っていた。



そうこうしている間に、玻玖が神導位になって1年がたった。

その祝いとして、都の皇居に呼ばれた玻玖。


和葉を連れて、都へと向かった。