「まるで呪いのような両親からの歪んだ愛など、もう欲するな。愛がほしければ、いやというほどに俺がくれてやる」


そう言って、玻玖は和葉を抱きしめた。

離れることを許さないかのように、強く強く。


「旦那様…!」


玻玖の言葉に応えるように、和葉も玻玖の背中に腕をまわして抱きしめた。


玻玖の胸に顔を埋める和葉の頬に涙が伝う。

しかしそれは、悲し涙ではなかった。


玻玖が生きているという安心感。

そして、その玻玖からの愛に触れ、うれし涙があふれて止まらなかったのだ。


「こんな胸でよければ、いくらでも貸す」 


玻玖はそう言って、和葉を抱きしめながら頭をなでた。


一晩中、ずっとずっと。