「…そうだな」


玻玖はそうつぶやくと、和葉をゆっくりと畳の上へと座らせた。

そして、その和葉の前にあぐらを組んで座る玻玖。


顎に手を当てて考え込んでいた玻玖が、なにかを思いついたのか、チラリと和葉に目をやる。

ごくりとつばを呑む和葉。


「これから死ぬまで一生、俺のそばにいろ。それが、和葉に与える処分だ」


思っていたものとはまったく違い、張りつめていた緊張の糸がゆるむ和葉。

驚きのあまり、目をパチクリとさせる。


「…どういうことでしょうか、その処分は…」


拍子抜けする和葉。


「軽く見るんじゃないぞ?『これから死ぬまで一生』だ。生半可な気持ちでは務まらないからな」


口角を上げて笑う玻玖。


和葉は恐れ入った。

暗殺をたくらみ、実際にそれを行動に移したというのに、それらを咎めず「そばにいろ」と言うのだから。