「そんなの、お前を愛しているからに決まっているだろう?俺だって男だ。好きな女とキスくらいしたいものだからな」

「ですが、それは旦那様のお体を――」

「心配するな。俺に、呪術の毒など効かない」


混乱しているということもあるが、和葉は玻玖の言っていることが理解できなかった。


それに、まさか暗殺計画が初めからバレていたとは。


貴一が強い憎悪の念を込めた『眠毒ノ術』であるのに――。

そもそも、それに限らず呪術の毒が効かないなんて。


「だから、和葉。自分を責めることはない。俺は死なない」


まるでそのことを証明するかのように、玻玖は何度も何度も和葉にキスをした。

逆に和葉が「もうやめて」と言うまでずっと。


「俺を殺すようにと指示したのは、貴一さんだろう?」


玻玖の問いに、和葉はためらいながらもゆっくりと首を縦に振る。