「…あとからでは遅いのです!!なぜなら今、旦那様のお体には――」


そう言いかけた和葉の唇を玻玖が塞いだ。

突然のことで、目を丸くする和葉。


「…なっ、なにをするのですか!もうわたしと口づけをしては――」

「なにもしゃべるな」


そして、また玻玖は和葉の唇を塞ぐ。

和葉に息をする暇も与えないくらい、噛みつくように何度も何度も。


「旦那様…、どうしてっ……」


なんとか声を漏らす和葉。


たった一度の口づけならなんとかなったかもしれないというのに、こんなにたくさん触れてしまっては――。


本当に玻玖は死んでしまう。


助けられたはずなのに、それを止めることができなかった。


口づけをされながら、和葉の目に涙がにじむ。

それを見た玻玖が、そっと唇を離す。


「…すまない。キスは嫌いだったか…?」