…わたしは――!


自分の愚かさに苛まれる。

後悔の念に駆られ、それが和葉の心を底から燃やしていた黒い炎を消し去る。


まるで、呪いの夢から覚めたような感覚。


「…お待ちください、旦那様!」


和葉は上体を起こし掛け布団を取っぱらうと、部屋から出ていこうとする玻玖を呼び止めた。


「どうした?」

「旦那様…!今すぐ『治癒ノ術』で、お体を蝕む毒を浄化してください…!」


目の奥がじわりと熱くなる。


この人だけは、死なせてはいけない。


和葉は強くそう思った。


奇跡的に、玻玖はまだ生きている。

しかし、毒耐性があったとしても、体中に毒がまわるのは時間の問題。


でも、すぐに毒を浄化すれば、もしかしたら――。


「…毒?なにを言っている、和葉。熱でもあるのか?」


フッと笑う玻玖。