呪術だけでなく、その自らの容姿でさえも自信のある乙葉は、これまでの人生で『不安』という言葉からは程遠い、すべてが自分の思い通りになるような生き方をしてきた。


実際のところ、今だってそんなことは一欠片も思っていない。


しかし、不安を吐露する乙葉のパフォーマンスは、貴一や八重にとっては健気でかわいく見えるのだ。


「心配するな、乙葉。お前は器用で本番にも強い。いつも通りにやれば大丈夫だ」

「そうよ、乙葉。それに、私たちの呪術だけで帝様も満足されるに違いないわ」

「それじゃあ、わたくしにとっては今回初めての呪披の儀だし、どのような場であるのか見学することにするわね」

「そうだな。貴重な『予知眼ノ術』は、できることならまだ表には出したくはない。万が一、互角に渡り合う呪術師が現れたときのために残しておこう」