今度こそ、――終わり。



――人を殺めてしまった。


同時に、わたしの心も死んだのだろう。

罪悪感によってあふれ出す涙もなにもない。


お父様とお母様の言いつけを守ったというのに――。

これで、「よくやった」と言って褒めて、愛してくださるというのに――。


…あれ、おかしいな。


どうしてだろう。

ちっともうれしくない…。


わたしは一体、なにを――。



「……は、…ずは」


目をつむる和葉の心に響く、柔らかい声。


「和葉」


自分の名前が呼ばれ、驚いて目を見開ける。


「急に意識を失ってしまったかと思ったぞ」


そこには、翡翠色の瞳で心配そうに和葉を見つめる玻玖の姿があった。


「だ…、旦那…様…?…どうして」

「どうしてもなにも、ずっといっしょにいただろう」