――ああ。

この翡翠色に輝く美しい瞳をこうして眺めていられるのは、今日が最初で最後かと思いながら。


和葉の心の中にくすぶっていた黒い炎は再び燃え上り、和葉に『そのとき』がすぐそこまできていることを告げていた。

玻玖にどれほど『愛している』と言われようと、和葉がほしいのは貴一と八重からの『愛している』だった。


そっと和葉の頬に添えられる手のひら。

引き寄せられるように、ゆっくりと近づく玻玖の唇。

そっとまぶたを閉じる和葉。



さようなら、旦那様。

そして、こんなわたしを許してください。


今宵、この口づけで貴方様のお命を頂戴します。



重なる玻玖と和葉の唇――。


呪結式のような盃での間接的なものとは違う。

直接、玻玖の体へと『眠毒ノ術』が流れ込む。


貴一が念じに念じた黒い黒い呪いが。